優先順位 | 空手 千葉市
空手道武現塾 健心会・代表 石塚克宏(千葉市)
すべてにおいて「優先順位」がある
人は誰しも、限られた時間の中で生きている。
だからこそ、日々の中で「何を優先するか」を常に選択している。
家族との時間、仕事の責任、学業への専念、趣味の楽しみ。
あるいは趣味の域を超えて、生きがいとして取り組むもの──。
それぞれに優先順位があり、それがその人の生き方を形作っている。
では、空手を学ぶ者にとって、「空手」という存在はどの順位にあるだろうか?
もし、「強くなりたい」と本気で願うのであれば、当然ながら空手の優先順位を生活の上位、できる限り高い位置に置かなければならない。
空手は、ただ道場で汗を流している時間だけではレベルの高い大会で優勝するまでに上達するものではない。
普段の生活、考え方、行動すべてが空手に繋がっているべきなのだ。

修業時代──空手を第一優先にしていた頃
私自身、若き修業時代は、迷うことなく空手を人生の第一位に置いていた。
空手を最優先することが、当たり前だった。
仕事をしていても、遊びに誘われても、どんな場面でも頭の中には「空手」があった。
今日はどうやって技を磨こうか。
どうやってスタミナを高めようか。
今、何をすべきか──常に自問自答していた。
稽古がある日は、どんなに忙しくても体力の回復を意識して行動した。
無駄な動きはせず、空き時間があれば車の中ででも5分、10分と休息を取る。
たった数分の仮眠でも、稽古に向けてのエネルギーを取り戻せる。
そんな積み重ねが、確実にコンディションを左右することを体感していた。

食事も意識してバランスよく摂取し、身体を作るために必要な栄養素──特にタンパク質やビタミン、ミネラル類──を意図的に補給した。
当時はまだサプリメントが今ほど普及していなかったが、少しでも不足を感じれば積極的に取り入れていた。
全ては「空手のため」。
どんな小さなことでも、空手に繋がると信じて取り組んでいた。
技術を磨くために広げた世界
さらに、パンチの技術を磨くべく、ボクシング・ジムに通った。
ただ道場内で突きを鍛えるだけではなく、パンチを専門とするスポーツから学ぶべきだと考えたからだ。

ステップワーク、距離の取り方、フェイントのかけ方──
それらを実際に体験し、自分の空手にどう応用できるかを常に考えていた。
また、空手やボクシングなどテレビ中継している試合は必ずビデオに撮り、研究。また機会があれば練習もビデオで撮り(当時、ビデオは余り普及していなかった)帰宅後に繰り返し見直した。
良かった点、悪かった点、次に活かすべきポイントを自分で分析する。
第三者に任せるだけでなく、自分自身が徹底して研究する姿勢が大事だった。
筋力強化も同様だ。
単に「重いものを持ち上げる」のではない。
正しいフォーム、狙った筋肉に効かせる方法を学ぶために、ボディビル・ジムにも通った。

見た目だけの筋肉では意味がない。
実戦に耐えうる、しなやかで強い筋肉を作り上げるために、トレーニングにも細心の注意を払った。
全てが、空手のため。
全てが、強くなるためだった。
どこに優先順位を置くかで未来が変わる
空手に限らず、何事も「優先順位」が結果を左右する。
もし空手があなたにとって、たった週に1~2回、気が向いた時にやる「趣味」のひとつでしかないなら、それ相応の成果しか得られないだろう。
それは悪いことではない。
それもまた一つの生き方であり、楽しみ方だ。
しかし、もし心のどこかで「もっと強くなりたい」と思っているなら──
空手の優先順位を、もう一段、二段と上げるべきだ。
空手を日常の中心に据えることで、日々の行動が変わる。
身体の使い方、生活習慣、意識の向け方すべてが変わる。大袈裟に言えば人生そのものが変わる。
そして、確実に「強さ」へと繋がっていく。

優先順位を上げるということは、単に「時間を増やす」という意味ではない。
一つ一つの行動を空手に結び付ける。
空手を通して生活そのものを磨いていく。
それこそが、本当の「強くなる」ということなのだ。
まとめ──優先順位の高さが、未来を決める
私が若い頃に学び、今でも確信していることは一つ。
本気で何かを成し遂げたければ、迷わずそれを最優先にすることだ。
空手を愛し、空手を通して自分を高めたいと願うなら、生活の中で空手を中心に据える覚悟を持とう。
すべては、自分自身の未来のために。
あなたの優先順位が、あなたの空手人生を形作る。
それを、心に刻んでほしい。
