千葉市・空手道武現塾の栄養摂取① | 空手 千葉市
空手道武現塾 健心会・代表 石塚克宏(千葉市)
1. はじめに:空手と栄養は切り離せない
こんにちは。空手道武現塾の石塚です。
今回は、「栄養」について、私のこれまでの経験も交えてお話したいと思います。空手に限らず、運動に取り組むうえで食事や栄養の重要性はよく語られますが、実は一般の方にも深く関係する話です。
特に昨今は筋トレブームやフィットネスブームの影響で、プロテイン(=タンパク質)という言葉もすっかり日常に浸透しました。昔は「なんだかアヤシイ粉…?」と思われていた時代もありましたが、今ではコンビニでも気軽に買える時代。私自身、高校時代に初めてプロテインを牛乳で溶かして飲んだ時のマズさは、今でも鮮明に覚えています(笑)。今のプロテインの味は本当に進化していますね。
さて、ここからは本題です。運動する人だけでなく、日々を健康に過ごすためにも知っておきたい「栄養の基本」から掘り下げていきましょう。
2. 知っておきたい!三大・五大・七大栄養素
まずは基本の「三大栄養素」から。
- タンパク質(1gあたり4kcal)
- 炭水化物(1gあたり4kcal)
- 脂質(1gあたり9kcal)
この3つは、私たちの生命維持や活動エネルギーを支える柱です。どれかに偏ってしまったり、「ダイエットのために脂質カット!」と極端に抜いてしまうと、体は不調をきたします。バランスが肝心です。
次に「五大栄養素」になると、上記にビタミンとミネラルが加わります。これらは代謝を助けたり、骨や血液を作るのに欠かせない存在です。
さらに、近年では「七大栄養素」として、以下の2つが注目されています。
- 食物繊維
- ファイトケミカル(フィトケミカル)
→色鮮やかな野菜や果物に含まれる天然の機能性成分で、抗酸化作用、免疫力向上、がん予防などの効果が期待されています。
食事の際には、見た目の“色どり”も意識すると自然とファイトケミカルも摂れるようになります。
3. タンパク質は意識して摂るべし!
私が個人的に一番意識しているのが「タンパク質」です(勿論、他の栄養素もバランス良く摂るように意識してます)。何十年も前から、ボディビルダーやアスリートたちは“3時間おきにタンパク質を摂取する”ことの大切さを説いていました。
なぜか?
それは、「カタボリック」という状態を避けるためです。
カタボリックとは…
体内のタンパク質(=筋肉)がエネルギー源として分解されてしまう状態のこと。筋肉を維持・増強したい人にとっては、避けたい状況です。
そのため、一部のビルダーは夜中に一度起きてプロテインを飲む、なんて話もあるほど。私も試してみたことがありますが、さすがに眠気には勝てず、長続きはしませんでした(笑)。翌日は体が凄く楽でしたけどね。
でも、そこまでストイックにならなくても、日常生活の中で“できる範囲”で意識してタンパク質を摂ることは十分に可能です。特に、夏のような暑い時期には、身体の疲労回復や熱中症対策にもタンパク質の摂取が重要です。

4. 私の1日のタンパク質摂取ルーティン
朝食:魚中心+ゆで卵で20g以上を確保
私は朝食でしっかりとタンパク質を摂ることを習慣にしています。基本的には魚を100g以上、それでおよそ20gのタンパク質が摂れます。足りない時はゆで卵を追加(ゆで卵は冷蔵庫に常備)。ちなみに、卵は生よりも加熱した方が吸収率が良いので、忙しい朝でも「ゆで卵」は重宝します。
時間がない時は、シーチキン+生卵+キムチなどで手軽に。吸収率は落ちますが、「摂らないよりマシ」です!
間食:バナナジュースが最強
私のイチオシおやつは自家製バナナジュース。
夏はバナナが傷みやすく、スーパーで半額になっていることもしばしば。それを見つけたら即大量購入。熟して黒くなった部分は取り除き、ちぎって冷凍保存しておきます。
飲むときは、冷凍バナナ+牛乳または自家製飲むヨーグルト+少量のハチミツでミキサーにかけるだけ。冷たくて美味しいです。トレーニング後にもピッタリです。バナナにはカリウムが豊富に含まれ、高血圧予防に期待出来ます。また、ビタミンB群も含まれ、疲労回復にも効果があるようです。
ちなみに、プロテインやサプリメントが手元にない場合でも、稽古や筋トレのあとに「牛乳やヨーグルト」と「炭水化物(バナナ、パン、おにぎりなど)」を一緒に摂ることで、体の疲れがかなり軽減されると感じています。
実際、牛乳には良質なタンパク質(カゼインとホエイ)が含まれており、ヨーグルトは消化も良く腸内環境を整える働きもあります。そこに炭水化物を組み合わせると、使った筋肉への栄養補給がスムーズに行われ、疲労回復が早まるという理屈です。私もプロテインが切れていた時期にこの方法で凌いだことがありますが、「あれ?思ったより体が軽いぞ」と実感しました。道場生の皆さんも、無理に高価なサプリを買わなくても、まずは身近な食品で工夫してみると良いと思います。

昼食:豚肉200gでガッツリ40g!←ちょっと多め。タンパク質を多く摂り過ぎても排泄されてしまいます。気を付けねば。
遅いお昼ご飯は豚肉メインの食事が多いです。200gの豚肉=約40gのタンパク質。しっかり食べて午後も動ける体に!
夕食:納豆と玄米でヘルシーに
夜は納豆を2パック(約13.5g)と、白米ではなく玄米を主食にしています。玄米は白米よりもわずかにタンパク質が多く、さらにビタミンB群やミネラル、食物繊維も含まれているのでおススメです。※納豆を夜に食べるのは血栓症予防に夜に食べると良いと言う事を聞いた事と、夜は重い食事を摂りたくないからです。バリエーションは豊富ですが、またの機会に。
5. 実際どれくらい摂れば良いのか?
私の場合、間食も含めると1日あたり120g〜130gのタンパク質を摂取しています。これはあくまで私の体重(約70kg)と運動レベルをもとに計算しています。
参考までに、一般的な摂取目安は以下の通り:
- 運動をしていない成人:体重1kgあたり 1.1g前後。
- 激しい運動をやっている人、中高生の部活生:体重1kgあたり 2g
たとえば、体重60kgの選手や部活生なら120gのタンパク質が必要ということです。ただ、1回の摂取量は20g〜30gまでにした方が良いそうです。年齢、体格、各自の吸収率によりますが、一度に多く摂り過ぎても吸収されないようです。
6. プロテインとサプリメントの「落とし穴」
プロテインをはじめとするサプリメントはとても便利です。しかし、摂りすぎはNG(殆どの事で当てはまりますね)。プロテインの過剰摂取は腎臓への負担がビルダーやトレーニーたちから指摘されており、死亡リスクに関係している可能性もあるのでは?と言っています。あくまでも摂り過ぎの事を書いてます。先日のある情報番組では「健康な人であればタンパク質の摂り過ぎで腎臓が悪くなる事はほぼ無い。」と言っていました。しかし、我々の間では1日に100g〜200g以上と凄い量を長期間に渡って摂取した人が腎不全などで死亡しているので要注意なのです。1人や2人ではありません。
また、サプリが「主食」になってしまうのも問題です。栄養補助食品はあくまで“補助”。基本は食事から摂るべきです。
さらに長期的にサプリを飲み続けると、消化吸収能力が低下することも。私のウエイトトレーニングの師匠・三土手さんは、若い頃は「大会後にサプリ断ち」をしていたそうです。世界大会後は2ヶ月、全日本後は1ヶ月。私も真似してみたところ、再開した時の「体の軽さ」に驚いたのを覚えています。
7. 消化のステップを知ると納得
食事からタンパク質を摂る場合、次のステップを踏みます:
噛む→胃で消化→タンパク質→アミノ酸→吸収
プロテインを飲めば“胃での消化”をスキップ、アミノ酸ドリンクならさらに“分解の過程”をスキップ。これは身体にとって“楽”ですが、逆に消化機能を甘やかしてしまう一面もあります。
だからこそ、年に数回はサプリメントを断つ「オフ期間」を作るのがオススメです。
8. まとめ:無理なく、でも意識して摂ろう
現在の私は、ケガの影響もあり高重量でのスクワットやデッドリフトをやっていませんし、試合期でも無いのでプロテインやアミノ酸を摂っていませんが、近いうちにスクワットを再開できそうなので、体重増(筋肉増!)を狙ってサプリも活用する予定です。
師匠イチオシはムサシの「クアン」。経済的に余裕があれば「ニー」との併用が効果的との事。私も初めて「クアン」を飲んだ時は、その体の変化に本当に感動しました。余談ですが、深酒して翌日早くに起きなくてはならない時の話です。寝る前にクワンを飲んだところ、翌朝は「何だ?こりゃ?」と体の軽さに驚きました。一緒に飲んだ友人たちも同じ事を言ってました。同室に泊まったので、一緒に驚いていました。
9. 中高生におすすめ!部活後の「手軽な栄養補給」
道場にも部活動に励む中高生が多く在籍しています。彼らに共通するのが、「時間がない」「食欲が不安定」「お金も限られている」という現実です。
そこで今回は、コンビニや家庭で手軽に摂れる「タンパク質+炭水化物」コンビを中心に、おすすめの食事例をいくつかご紹介します。
◎コンビニで買える「即戦力メニュー」
最近のコンビニは栄養バランスに配慮した商品も増えており、部活後の補食には非常に便利です。
■ 組み合わせ例①:おにぎり+サラダチキン
- おにぎり(鮭・ツナなど) …炭水化物+少量のタンパク質
- サラダチキン …高タンパク・低脂質で最強の選択
これは非常にバランスが良く、腹持ちも良い組み合わせです(ちょっとした夕食ですね)。特に冷たいままでも美味しく食べられるので、帰りの電車の中でも(座れれば)手軽に補食ができます。
■ 組み合わせ例②:バナナ+ヨーグルトドリンク
- バナナ …すばやくエネルギー補給できる炭水化物
- 飲むヨーグルト(無糖がおすすめ) …タンパク質と乳酸菌が同時に摂れる
コンビニによっては、ギリシャヨーグルトなどの高タンパク製品もあり、これを組み合わせれば非常に質の高い栄養補給が可能です。
■ 組み合わせ例③:卵サンド+豆乳
- 卵サンド …パンで炭水化物、卵でタンパク質
- 豆乳 …大豆由来の植物性タンパク質+ミネラルも豊富
おにぎりやチキンに飽きた時のバリエーションとしておすすめです。
◎家で用意できる簡単メニュー
ご家庭で準備できる場合は、次のようなメニューが手軽で栄養価も高いです。
■ お茶漬け+納豆卵ご飯
- 温かいご飯にお茶をかけたお茶漬けは、胃に優しく疲れた体にしみわたります。
- 納豆(たんぱく質の吸収率は抜群)と卵(先にも書いたが、生は吸収率が悪いが摂らないよりマシ)を混ぜてご飯にのせれば、完全食に近い形でタンパク質・ビタミン・ミネラルが一気に摂れます。
■ 冷やしうどん+鶏むね肉
- 食欲が落ちやすい夏場には、冷たいうどんがおすすめ。
- 鶏むね肉を茹でて裂いてのせるだけで、立派な「回復食」になります。
- 仕上げに卵黄や海苔、ゴマをかけると栄養価もアップします。
■ バナナ+牛乳の「即席シェイク」
- 冷凍バナナと牛乳だけでも十分美味しく仕上がります。
- お好みで少量のハチミツやきな粉を加えると、味も栄養もアップ!
◎ポイントは「すぐに摂る」「消化に負担をかけない」
運動後30分以内にタンパク質と炭水化物を摂取することで、筋肉の修復が効率よく行われると言われています。このタイミングを「ゴールデンタイム」と呼ぶこともあります。
理想は自宅に帰ってしっかりとした夕食を摂ることですが、現実的にはその前に軽く補給しておくことで体がグッと楽になります。先ほど紹介したように、牛乳やヨーグルトなどは非常に優秀な「身近なタンパク源」なので、ぜひ活用してみてください。

10. 保護者の皆さまへ:空手を頑張る子どもたちの食事サポート
道場に通う中高生の多くは、日々の稽古や学校の部活動で体力を使い、帰宅する頃にはクタクタになっています。そんな子どもたちを支えてくださっているのが、日々の食事を用意してくださるご家庭の存在です。ここでは、空手や運動に取り組むお子さんを持つ保護者の皆さまに向けた「栄養サポートのコツ」をいくつかお伝えします。ご参考になれば嬉しい限りです。
◎「量より質」で考えることも大切
成長期のお子さんは食欲の波が激しく、「たくさん食べてくれる日もあれば、全然食べない日もある…」という悩みもよく聞きます。
そんなときは、無理に「とにかく量を食べさせよう」とするよりも、少ない量でも栄養密度の高いものを選ぶことを意識しましょう。
例えば:
- 白米に玄米や雑穀米を少しだけ混ぜる
- 卵料理にはチーズやひき肉を加える
- 味噌汁に豆腐やわかめ、卵をプラスする
こうしたひと手間で、1回の食事の栄養価が大きく変わります。
◎子どもが嫌がらない「タンパク質強化メニュー」
「お肉は好きだけど、魚や豆製品は食べたがらない…」という悩みも多いと思います。そんな時は、以下のような工夫でタンパク質を自然に摂らせることができます。
■ 朝食で「ゆで卵+納豆」のコンビを!
- ゆで卵は1個で約6〜7gのタンパク質。納豆は1パックで約7g。
- 忙しい朝でもすぐ出せて、両方食べれば13g以上のタンパク質が確保できます。白米は100g中6,1g。
■ 魚を「フライ・唐揚げ」にしてみる
- 焼き魚や煮魚が苦手でも、揚げ物なら食べるという子は多いです。
- なるべく衣を薄くして、揚げすぎないようにすれば、栄養はしっかり残ります。※揚げ物は手間が掛かりますけどね。
■ 乳製品は「食後のお楽しみ」に活用
- 食後にヨーグルトやチーズを出すだけで、カルシウムとタンパク質の補給に。
- 特に無糖ヨーグルトに果物や少しのハチミツを加えると、子どもも喜んで食べてくれると思います。
◎「夕食+補食」という考え方
部活や稽古が終わって帰宅が遅くなった時、いきなり重い夕食を出すと胃に負担がかかります。
下記は現実的ではありません。翌日が休みなど余裕がある時に。
- まずはおにぎり+味噌汁+ゆで卵のような軽食(補食)で栄養補給
- 1時間後に、あらためて主菜中心の夕食(肉・魚・野菜のおかず)を出す
という「2段階方式」もおすすめです。
ただ、食の細い子は最初のおにぎりと味噌汁、ゆで卵で終わりって感じです。しかし、私ら、特にウエイトトレーニングをやってる人やガッチリ練習をやっている人は直ぐに腹が空きます。
これは実際にトップアスリートの食事管理にも取り入れられている方法で、成長期のお子さんにも効果的です。
◎頑張りすぎないことも大切です
「子どものために…」と思うほど、保護者の皆さんは無理をしがちです。
しかし、完璧な食事を毎回用意するのは本当に大変なこと。私自身も、指導者としてそうした保護者のご苦労を目の当たりにしています。
ですから、子供本人にある程度はやらせるべきだと思います。小学1年生の子でも目玉焼き位は教えれば出来ます。失敗したって20〜30円です。出来るようになれば後は楽です。戦力になります(これは横峯式教育法の横峯先生がおっしゃってました、私も同感です。教えるまでが難しいですけどね)。
そして、時にはコンビニや冷凍食品に頼っても全然OKです。「今日は疲れたから、おにぎりと納豆だけ」でも大丈夫。大切なのは、継続して少しずつ意識することです。
「ご飯を炊くときに雑穀を混ぜてみる」「みそ汁に豆腐を入れる」「買い物ついでにバナナを買っておく」
そんな小さな工夫が、空手を頑張る子どもたちの体をつくってくれます。
おわりに:栄養も空手も、毎日の積み重ね
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
今回は「タンパク質」に焦点を当てつつ、私自身の食習慣や稽古との関係、そして中高生や保護者への実用的なアドバイスまでご紹介しました。
栄養は一朝一夕で効果が出るものではありません。しかし、毎日コツコツと積み重ねることで、必ず「変化」が体に現れます。それは筋肉だけでなく、集中力や気力にもつながっていくのです。
次回以降も、道場の理念に基づきながら「空手に役立つ食と体づくり」のコラムも書いていきますので、ぜひお楽しみに!
押忍!