出来る理由、出来ない言い訳 | 空手 千葉市

空手道武現塾 健心会・代表 石塚克宏(千葉市)


最初は誰もがワクワクしている

初心者の頃は、誰しも新しい挑戦に胸を躍らせるものだ。
空手でも、スポーツクラブでも、「今日はどんな稽古をするのだろう?」「どんな技を覚えられるのだろう?」「今日は脚をガッチリと攻めるトレーニングをしよう!」と期待と興奮を抱きながら道場へ向かう。
慣れない動きに四苦八苦しながらも、一生懸命に汗を流し、自分が成長している実感を味わう。
この初期の情熱こそ、誰にとってもとても大切なエネルギー源だ。

しかし、時間が経つと、徐々に変化が訪れる。
新鮮だった動きも体に馴染み、稽古内容もある程度パターンが見えてくる。
そして、最大の敵――「飽き」が顔を出すのだ。


言い訳が顔を出す瞬間

飽きが出てくると、最初は楽しかった稽古も、どこか義務感に変わり始める。
そうなると、人は自然と言い訳を探し始めるものだ。

「今日は体調が万全じゃないから。」
「家でやらなければいけないことがある。」
「仕事が忙しくて。」
「ちょっと気が乗らないから。」

こうした言葉が、次第に頭をよぎる。
最初は月に一度、二度だった言い訳が、いつしか週に一度、そして毎回になり、最終的には稽古に来なくなる――そんなケースを私は何度も見てきた。

もちろん、身体的に本当に休むべき時はある。
過労やケガ、病気など、無理をして悪化させるようなことは絶対に避けるべきだ。
問題なのは、「本当は行けるのに」「少し頑張ればできるのに」、自分に甘えて言い訳をしてしまう心だ。


出来ない理由を考えるのではなく、出来る理由を探せ!

強くなりたいなら、考え方を変えなければならない。
出来ない理由を並べるのではなく、「どうすれば出来るか?」を考えるべきだ。

「体が少し疲れている? じゃあ基本稽古だけして早退しよう。」
「風邪気味? 無理をせずに軽めの自主練だけしよう。」
「仕事で帰りが遅くなる? 少しでも顔を出して、気持ちをリセットしよう。」

そうやって、自分にとって無理のない範囲で「出来る理由」を探し続ける。
これが強さへの道だ。

人間、完全なコンディションの時など滅多にない。
むしろ、疲れているときや気が乗らないときに、どれだけ自分を律して行動できるか。
それこそが、本当の強さだと私は思う。


稽古に向かう姿勢が未来を決める

私は若い頃、どれほど疲れていても、どれほど気が重くても、「稽古をやる!」という選択肢しか持たなかった。
道場に行ってしまえば、稽古が始まれば、体も心も自然と動き出す。
そして稽古が終わる頃には、「やっぱり来てよかった」と思うのだ。
これは今でも変わらない。

もしあの頃、自分に言い訳をして稽古を休んでいたら――今の自分は間違いなく存在していない。
強くなりたい、上達したいと本気で思うのなら、まずは「道場に来ること」「稽古に取り組むこと」を最優先にするべきだ。


出来るか、出来ないかは、問題ではない

ここで、はっきり言っておきたい。
出来るか、出来ないかは問題ではない。まずは「やる!」その気持ちが一番大事だ。

誰だって最初は出来ない。
上手くいかない。思った通りに体が動かない。思ったような結果が出ない。
だからこそ、稽古するのだ。
「上手く出来ないから、稽古をする」のが空手だ。

上手くいかないことを言い訳にして稽古を休むのではない。
上手くいかないからこそ、道場に足を運び、汗を流す。
何度も繰り返し、失敗し、反省し、また挑戦する。
この繰り返しこそが、空手の修行であり、人生そのものだ。


最後に

これを読んでいるあなたは、おそらく空手を通じて「強くなりたい」と思っているはずだ。
その気持ちを忘れずにいて欲しい。
例え上手く行かなくても、たとえ苦しくても、まずは「稽古が出来る理由」を探し、前に進もう。

飽きも、疲れも、気持ちの浮き沈みも、すべては成長のために与えられた試練だ。
それらを乗り越えた先に、確かな強さが待っている。

強さは、自分に勝つことから始まる。
出来ない言い訳を探すのではなく、出来る理由を探し続けること。
それが、あなた自身を変える第一歩だ。

押忍。