加速度的に強くなって行く時期 | 空手 千葉市

空手道武現塾 健心会・代表 石塚克宏(千葉市)


誰もが最初は「強くなりたい」

道場に通い始めた頃、誰しも「早く強くなりたい!」という熱い想いを抱いて稽古に励みます。
新しい技を教わる度に胸が高鳴り、「次は何を学べるのだろう?」と期待に満ちあふれて道場へ向かうものです。
慣れない基本稽古に四苦八苦しながらも、汗を流す度に自分が少しずつ逞しくなっていく実感が湧き、この頃の上達は本当に嬉しいものですよね。

もちろん、初心者のうちは目に見えて成長していきますが、そのペースは決して爆発的ではありません。基本を繰り返し体に染み込ませる地道な努力の積み重ねであり、派手さはないかもしれません。
しかし、この 「強くなりたい!」 という初期の情熱こそが、後々大きく伸びるための土台となるのです。最初に抱いた強い気持ちを持ち続け、コツコツと稽古を積み重ねていけば、やがてさらなる飛躍の時期が訪れます。


中高生で加速する成長

では、いつその飛躍の時期が訪れるのか。多くの場合、空手に限らず中学生・高校生の時期に入った頃から、技の吸収力や上達のスピードが加速度的に上がっていきます。
それまで出来なかった動きが急にできるようになったり、技のキレが格段に増したりと、自分でも驚くほどの成長を感じる瞬間が増えるでしょう。道場で指導していても、中学生くらいから急に強くなる生徒を何人も目にしてきました。

この理由の一つは、理解力と身体能力の飛躍的向上にあります。小学生の頃に比べ、中高生にもなると技の理合い(りあい)を論理的に理解できるようになり、「なぜこの動きが必要か」「どうすれば効率よく力を伝えられるか」を考えられるようになります。加えて、思春期に入って体格や筋力が発達し始めると、それまで扱えなかったスピードやパワーを技に乗せられるようになるのです。

また、中高生になると精神的にも自立心や向上心が高まり、「絶対に強くなってやる」「大会で結果を残したい」といった本気度が増してきます。これらの要素が重なり合うことで、まるでエンジンにターボがかかったように上達曲線がグンと上向いていくのです。中高生はまさに 伸び盛り、今まで培ってきた基礎が花開き、強さが一気に開花する加速の時期だと言えるでしょう。


他の競技でも訪れる「伸び盛り」

この中高生で技術が飛躍する現象は、何も空手だけではありません。実はどのスポーツでも共通して見られるものです。例えばクラシックバレエ。幼い頃から長年レッスンを積んでも、小学生までは基礎訓練が中心で、なかなか高度な表現は難しいものです。ところが中学生くらいになると急に体が思い通りに動くようになり、華麗なジャンプや高度なバランスを次々と習得していきます。舞台映えする本格的な踊りができるようになるのは、やはり身体が成長し筋力や表現力が伴ってくる思春期以降だと言われます。

テニスの世界でも同様です。小学生からラケットを握り厳しいトレーニングを積んでいた選手が、中学・高校と成長する中で全国大会で頭角を現すケースは珍しくありません。サーブの威力が格段に上がったり、フットワークが飛躍的に向上したりして、中学時代に平凡だったプレーヤーが高校でエースになることだってあります。これは身体能力の発達に加え、戦術理解やメンタル面の成熟が伴ってくるからこそです。

つまり、**技術が大きく伸びる「伸び盛りの時期」**は空手に限らず存在し、多くの競技で中高生前後に訪れるのです。「じゃあ自分もその時期になれば自然と強くなれるのか?」と思うかもしれませんが、実は大切なのはその時期をどう迎えるかにあります。単に年齢を重ねれば勝手に強くなるわけではなく、次の鍵となる要素を押さえておかなければ、その貴重な伸び盛りを十分に活かせないでしょう。


意識と集中次第で上達は変わる

中高生という伸び盛りの年代に突入しても、稽古に対する姿勢次第で上達の度合いは大きく変わります。言い換えれば、せっかく成長期の追い風が吹いていても、それを受け止める「心の帆」がしっかり張っていなければ、大きく前進できないのです。ここで重要になるのが、稽古に臨む際の意識集中力

何も考えずにただ漫然と稽古を繰り返すのと、明確な目的意識を持って一つ一つの動作に集中して取り組むのとでは、半年後・一年後の技術に歴然とした差が生まれます。例えば同じ型の反復練習でも、「なぜこの動きが有効なのか」「自分のどこを改善すべきか」を考えながら稽古する人は、毎回新たな発見と学びを得てどんどん上達していきます。逆に、何も考えず言われた通りに動くだけの人は、表面的には稽古を積んでいても技の精度や応用力がなかなか向上しません。

集中力が高い人ほど、師範や先輩の教えを余すことなく吸収できます。稽古中のアドバイスを「頭で理解して体で再現する」速度が速いため、結果として習得スピードも段違いです。せっかく身体が成長し強くなれるタイミングに差し掛かっても、意識が散漫であれば伸びは限定的になります。逆に、強くなるチャンスの時期にしっかり集中して稽古に臨めば、その成長曲線はさらに鋭角に跳ね上がるでしょう。


道場で見た『意識』の力

実際に、私が道場で指導する中でも意識の持ち方次第で急成長を遂げた道場生がいます。ある少年部の生徒の例です。彼は小学低学年で空手を始め、最初は大きな声で「強くなりたいです!」と宣言して入門してきました。幼い頃から一生懸命基本を練習していましたが、全国大会で優勝するような同年代のトップ選手たちに比べると、体格的にも技術的にもまだまだ及ばず、小学生のうちは地区大会で入賞するのが精一杯でした。

しかし中学生に上がる頃、彼はある大会で悔しい敗北を経験しました。それを機に「絶対に見返してやる!」と決意し、それまで以上に稽古に打ち込むようになったのです。具体的には、毎回の稽古で**「今日のテーマ」**を自分に課し、「今日は突きのフォームを一から見直そう」「今日は蹴りの瞬発力を意識しよう」といった具合に、一つ一つの練習に明確な目的を持って取り組み始めました。加えて、自宅でも鏡の前で型の自主練習を欠かさず行い、自分の動きを客観的にチェックする習慣も身につけました。

その結果――彼の強さは中学1年生から2年生にかけて飛躍的に向上しました。それまで歯が立たなかった相手に勝てるようになり、動きのキレと威力は別人のよう。周囲の仲間も「○○(彼の名前)、最近ものすごく強くなったな!」と驚くほどの成長ぶりでした。中学生という身体的成長期にうまく乗りつつ、稽古への意識と集中を高めたことで、まさに加速度的に強くなっていったのです。このとき彼は、自分自身の意識が変わればここまで伸びるのかと実感し、大きな自信を掴んだことでしょう。指導する私自身も、改めて「意識ひとつでこれほどまでに人は伸びるのだ」と感銘を受けたエピソードでした。

反対に、才能に恵まれていながら意識が伴わず伸び悩んでしまう例もあります。幼少期からセンス抜群で大会でも活躍していた子が、中学生になって気の緩みから練習態度が散漫になり、その結果周りに追い抜かれてしまったケースも見てきました。伸び盛りの時期にどれだけ真剣に取り組むかで、その後の差が決まってしまうのです。だからこそ、道場生の皆には自身の成長期を無駄にせず、しっかりとした意識を持って日々の稽古に挑んでほしいと心から願っています。


最後に

中高生を中心とした加速度的に強くなって行く時期についてお話ししましたが、今まさにこれを読んでいるあなたも、「もっと強くなりたい!」という熱い気持ちを胸に稽古に励んでいることでしょう。
その気持ちを絶対に忘れないでください。そして、ただ漠然と強くなりたいと願うだけでなく、「いつか必ず○○大会で優勝するぞ」「〇段を取得するぞ」といった具体的な目標を掲げ、その実現に向けて日々意識高く稽古に取り組んでみてください。目標に向かって集中して努力を積めば、あなたが迎える伸び盛りの時期に、その努力は一気に花開くはずです。

たとえ今すぐ大きな成果が出なくても焦る必要はありません。中学生・高校生と成長する中で、努力してきたことが結果となって現れる瞬間が必ず来ます。それまで基礎をおろそかにせず、自分を信じて稽古を続けましょう。その継続と情熱がある限り、あなたの強さは加速度的に増していきます。

さあ、これからもお互い切磋琢磨していきましょう。そして訪れる飛躍のチャンスを逃さず掴み取るために、日々の稽古に全力を注ぎ続けましょう。

頑張ろうぜ!

誰もが強くなりたいと思い、空手道場に入門する事だらろう。
それは小学生でもある。但し、子供の場合は入門する際に「友達もやっていて、楽しそうだから。」はある。しかし、どんな競技かは分かっているようだし、体験入門で分かって自分で決めている。やはり、多少なりとも強さへの憧れはあるはずだ。

それが、学年が上がって行けば、段々芽生えて来て、強さへ貪欲になる年齢ともなると強さへの成長は加速度的に上がる。勿論、他の競技に行く者もいる。飽きてしまう子もいる。それは必ずいる。私は辞めて行く人には無理やり押し付けるような事はしない。

しかし、中学生以上になっても空手道を選んでくれた者には、「強くなりたい」と言う気持ちが強くなっている者が多い。意識が高くなりつつある。

そうなると、こちらが教えたい事をしっかりと理解してくれる。同じ事を教えてもすんなり動きに反映されている。
例えば、少年部に右上段回し蹴りを蹴るように指示しても、左足で蹴ったり、中段回し蹴りを蹴ったりする子がいる。しっかり、聞いてないからだ。
しかし、意識の高い子はそのような事は極めて少ない。集中して聞いているからだ。
このように、気持ちだけでも稽古に対する姿勢が変わる。増してや、中高生になり体力が付き、自分の身体を自在に動かせるようになると加速度的に強くなる。
すると。面白い。強くなりたい、という気持ちが強くなる。良い相乗効果だ。
そうなると、強くなる為にはどんな事が大事か?を考えるようになる。食事は勿論、睡眠時間や普段の行動にまで影響する子は相当強くなる。

以前、私の友人夫妻がSNSでこんな事を言っていた。彼らの娘はクラシック・バレエをやっていたそうだ。
「ねえ、みんな。小学校卒業と同時に辞める子いるよね?中学に入っても部活との両立が難しくて辞めて行く子もいるよね。高校受験でそのまま辞める子もいるよね。でもね、高校生からなんだよ。自分の身体が自在に動かせて自由に踊れるようになるには。高校生からなんだよ。凄い動きが出来るようになるには。それまで我慢して。」と言う内容でした。私も全くの同意見でした。他の空手道場の先生に聞いても同意見。その事をスポールクラブにテニスコーチに話をしたらテニスも全く同じです、と。
習い事は自分からやりたい、と思ってから、特に中高生から爆発的に成長するモンだ、という事だ。

頑張ろうぜ。