千葉市・空手道武現塾 / 集中力について | 空手 千葉市
空手道武現塾 健心会本部 石塚克宏(千葉市)
はじめに
こんにちは。千葉市の空手道武現塾・健心会本部の石塚克宏です。
今回は「集中力」について、保護者の皆さまと一緒に考えてみたいと思います。
集中力と聞くと、勉強やスポーツの場面を想像される方が多いでしょう。ですが実際には、社会に出てからの仕事や人間関係、人生のあらゆる場面に関わる大切な力です。空手の稽古を通じて集中力を磨くことは、子どもたちが将来困難に直面した時の大きな支えとなります。
子どもにとっての集中力とは
集中力は「大事だ」と頭では分かっていても、実際に持続させるのは難しいものです。大人でさえ会議や運転で気が散ることがあるのですから、子どもにとってなおさら困難です。
しかし一方で、子どもは「好きなこと」に対しては驚くほどの集中力を発揮します。例えばゲームや動画。数時間でも休まずに続け、細かい操作や場面の変化に対応します。
この「好きなものに向かう集中」を勉強や習い事に活かせれば、子どもたちの可能性は大きく広がります。

現代の子どもと集中力の課題
昔と比べ、今の子どもたちが集中力を発揮しにくい背景には環境の変化があります。
- 情報の多さ
スマホやタブレットを通じて、常に刺激が溢れています。数秒ごとに画面が切り替わる動画に慣れると、長時間ひとつのことに集中するのが難しくなります。 - 時間の細切れ化
習い事、塾、部活と予定が詰まり、落ち着いてひとつのことに向き合う時間が減っています。 - 都市部ならではの誘惑
千葉市のような都市部では、ゲームセンターやショッピングモール、娯楽施設などが身近にあり、注意を奪うものがたくさんあります。
だからこそ「集中力を意識的に育てる場」が必要です。それが道場での稽古であり、家庭での習慣づけなのです。
大人と子どもの集中力の違い
大人は経験から「集中をある程度コントロールする術」を身につけています。
「ここまではやる」「あと30分だけ頑張ろう」と自分を律することができます。
一方で子どもはまだ未成熟です。基本的には「楽な方に流れる」気持ちが強く、集中を維持するのが難しいのは自然なことです。
ただし、子どもは興味ある対象には一気に没頭する力もあります。つまり「集中の方向性」を正しいものに向けさせてあげれば、子どもたちの集中力は爆発的に伸びるのです。
集中力は一朝一夕で身につかない
集中力を育てるのに「裏ワザ」はありません。
筋トレを例にすれば分かりやすいでしょう。昨日まで腕立て30回の人が、翌日から100回できるわけがありません。コツコツ積み重ねるしかないのです。
集中力も同じで、毎日の稽古や学習で「短時間でも集中する経験」を積み重ねることが大切です。やがて10分が30分に、30分が1時間にと持続力が伸びていきます。

空手の稽古が集中を育てる
空手の稽古は技術を学ぶだけでなく、心を整え集中を鍛える場でもあります。
正しい姿勢が集中の入口
「気を付け」の姿勢は単純に見えますが、背筋を伸ばし、視線を定めることで脳と心が安定します。稽古の始まりでまず姿勢を整えるのは、集中のスイッチを入れるためでもあるのです。
苦しさを超える経験
突きや蹴りの反復、持久稽古では必ず「やめたい」と思う瞬間が訪れます。
しかし指導者に励まされ、仲間と一緒に最後までやり抜くことで「苦しくても集中し続ける力」が育ちます。
集中と礼の関係
ここで「礼」と集中の関係を見てみましょう。
子どもの頃、先生や親から「勉強するときは背筋を伸ばしてシャンとしなさい」と言われた経験は多いと思います。これは単なる礼儀ではなく、姿勢を正すことで体の軸が安定し、集中力が高まるからです。
大人でも会議や講習で「しっかり聞こう」と思う時は、自然に背筋を伸ばし前傾姿勢になります。ぐたっとした姿勢では集中できません。
つまり「姿勢と軸」は集中と密接に結びついているのです。空手の「礼」は相手への敬意であると同時に、自分の集中を高めるためのスイッチでもあります。
試合の場面での礼
試合前の礼は特に重要です。
礼をした瞬間に心が切り替わり、全神経が一点に集まります。礼が形だけになっている選手は気持ちの切り替えが中途半端ですが、真剣な礼を行う選手は一瞬で集中状態に入ります。
これは日本の武道が何百年も大切にしてきた知恵であり、千葉市の教育現場でも「姿勢を正す」ことが重視される理由でもあるのです。

道場での実例
道場では年齢や経験によって集中の表れ方が違います。
- 低学年の子ども
基本稽古の途中でキョロキョロすることがあります。ここで「気を付け!」と号令をかけると一瞬で姿勢が戻り、集中も復活します。 - 高学年の子ども
自分で集中を立て直す力が芽生えます。深呼吸をしたり拳を握り直したりして、再び心を整えます。 - 中高生・一般部
学校や仕事の疲れを抱えて道場に来ても、礼をして正座するだけで心が整い、稽古に集中できるようになります。
昇級審査や演武会でも、集中できた子は堂々と演武し、集中が乱れた子は普段できている技を出せません。集中力が結果に直結することを、子どもたちは体験を通じて学んでいきます。
私自身の体験から
私自身も30年以上空手とトレーニングを続けています。その中で集中を高めるのに特に効果を感じているのが 丹田呼吸 です。
重いバーベルに挑む前に丹田呼吸をすると、手が温かくなり力が集まる感覚が訪れます。その瞬間「よし、行ける!」と心が切り替わり、集中のスイッチが入ります。
空手でも同じです。礼や呼吸で心を整えることで、自然と技に集中できるのです。

ご家庭でできる集中力サポート
道場だけでなく家庭でも集中力を育てる工夫は可能です。
- 環境を整える
勉強机から余計なものを片付け、スマホやテレビを遠ざける。 - 小さな成功体験を積ませる
「今日は10分集中」など、達成しやすい目標から始めて自信を積み重ねる。 - 褒めるポイントを工夫する
結果ではなく「集中していた姿勢や時間」を褒める。 - ルーティンを作る
勉強前に深呼吸や背筋を伸ばす習慣を作る。 - 声かけを変える
「頑張れ」ではなく「集中してやっておいで」と言うだけで意識が変わります。
集中力が社会で生きる場面
集中力は勉強や稽古に限りません。
- 受験
机に向かって数時間取り組めるかどうかが合否を分けます。 - 社会人の仕事
会議で集中して要点をつかめる人は信頼されます。 - 人間関係
相手の話を集中して聞く姿勢は、信頼関係を築く上で大きな意味を持ちます。
空手を通して学んだ集中力は、人生のあらゆる場面で役立つ「生涯の武器」になるのです。

まとめ
集中力は目に見えませんが、子どもの成長にとって欠かせない力です。
空手の稽古を通じて「礼」「姿勢」「呼吸」で心を整え、苦しさを超える経験を重ねることで集中力は確実に高まります。
私たち指導者は、保護者の皆さまと共に子どもたちを支えながら、この「集中力」という力をしっかり育てていきたいと考えています。

