空手道を通じての絆 | 空手 千葉市

空手道武現塾 健心会・代表 石塚克宏(千葉市)


空手が繋げてくれた縁

これまで空手を通じて、実に多くの素晴らしい人物と巡り合うことができました。その中でも、特に思い出深いのが故モンゴル支部長の荒井君との縁です。

2024年8月、荒井君は街中を歩いていた際に心筋梗塞で急死しました。突然の別れで、本当に残念でなりませんでした。そんな彼を偲び、2025年5月17日から19日までの日程で、モンゴルへお墓参りに行ってきました。


出会いは1991年、大道塾千葉支部にて

荒井君との出会いは1991年、大道塾千葉支部時代の頃のことでした。当時彼は若くして入門し、まっすぐな性格と空手への情熱で周囲の信頼を集めていました。

やがて彼はモンゴルへ渡り、現地でまずは元々やっていた合気道をやり始めました。その流れの中で、空手にも仲間を集めて取り組み始めたのです。そんな彼の周囲には、自然と熱意ある人たちが集まってきました。その中でも今でも付き合いが続いているのが、バヤルフー君とバットムンフさんという仲間たちです。今回も空港まで迎えに来てくれます。


一通の絵葉書から広がった支部設立の道

荒井君は、モンゴルでの活動を度々絵葉書で報告してくれていました。そこには空手の稽古風景、仲間たちとの様子、異国の空気が感じられる言葉が綴られていました。

私は、その都度必ず返事を書きました。手紙のやり取りというのは、時間がかかる分、気持ちがこもるものです。そのおかげで、距離は遠くても心の繋がりが切れることはありませんでした。

そして1999年、私は初めてモンゴルへ足を運ぶことになりました。その時、現地での空手活動を確認し、正式にモンゴル支部として発足することになったのです。あの時、荒井君が絵葉書を送り続けてくれなかったら、モンゴル支部の存在はなかったかもしれません。


モンゴルで育まれた深い絆

今回のお墓参りは、モンゴル訪問としては10回目になります。これまでの視察も含め、現地の仲間たちとは長い付き合いになりました。その中でも、特に5人のモンゴル人の仲間たちとは20年以上の交流があります。名前はここでは割愛しますが、彼らとの関係はもう、家族のようなものです。

毎回会うたびに、心からの温かさを感じ、言葉以上の信頼で結ばれていることを実感します。文化も言語も違う国で、こんなにも深い絆を築けたのは、やはり空手という共通の柱があったからこそだと思います。


空手道が築いた絆の強さ

もし、私が空手をやっていなかったら。たとえ彼らと出会っていたとしても、ここまでの深い繋がりにはならなかったでしょう。技を教え合い、互いに鍛え合い、時に言葉ではなく拳で語り合う──空手という道を通してだからこそ、生まれた信頼と尊敬があるのだと思います。

空手は技を磨くだけのものではありません。それを通じて、自分と向き合い、人と繋がる道でもあるのです。荒井君との縁、モンゴルの仲間たちとの絆、それはすべて空手が運んできてくれた奇跡のようなものです。


これからも、空手道を通じて

今回のモンゴル訪問は、改めて空手道の持つ力を実感させてくれるものでした。人と人を繋げ、国境を越えて心を結びつける──これこそが空手道の本質ではないかと、私は強く感じています。

これからも私は、空手という道を通して、より多くの人と繋がり、絆を深めていきたいと思います。そして、そのきっかけを作ってくれた荒井君に、改めて心からの感謝を捧げたいと思います。

押忍。