限界はずっと先にある | 空手 千葉市

空手道武現塾・代表 石塚克宏(千葉市)


「限界はずっと先にある!」
この言葉、古くからの道場生なら覚えているだろう。旧武現塾道場の壁に貼ってあった「空手家十ヶ条」の一つだ。元々は、俺のパワーリフティングの師匠であるノーリミッツ代表の三土手大介さんが作った「力職人 十ヶ条」というTシャツから許可を得て、そのまま引用し、少し修正して道場に貼ったものだ。全文はこうだ── 10番目(その内、一つずつコラムで書きたいと思う)。
「決して諦めるな!限界は自分が思っているよりずっと先にあるものだ!」

この言葉、ただのスローガンじゃない。私が何度も何度も痛感してきた、リアルな実感そのものだ。そして今、この道場で稽古に励むお前たちにも、心の奥底に刻んでおいてほしい。


「あの時、もっと頑張れたはずだ…」の後悔

大人なら誰だって思い当たるだろう。「あの時、もっと頑張れたはずだ…」って後悔した経験が一度や二度はあるはずだ。あの時は「これが限界だ!」って思ってても、後から振り返ると「いや、全然余裕あったじゃん!」って思うことの方が多いんだよな。逆に、「あの時の頑張りは今の俺には無理だ」って思う経験は、案外少ないんじゃないか?

そう、限界なんて自分が勝手に作り上げた壁に過ぎないんだよ。どこまで行けるかなんて、やってみないと分からない。


数字で見る限界の嘘

例えば、ウエイトトレーニングを例に挙げよう。運動経験がない人にとって、100キロのバーベルなんて「無理無理!持てるわけない!」ってレベルだよな?でも、真剣にトレーニングを積んでいけば、いつの間にか100キロなんてアップの一環で扱えるようになるんだ。それくらい人間の限界なんてあやふやなものなんだよ。

空手でも同じことだ。白帯の頃、先輩たちがサンドバッグやミットをぶっ叩いてるのを見て、「うわっ、あんな攻撃、受けたら骨が折れるんじゃないのか?」「どうやって防御するんだ?」なんてビビってたお前たち。

でも、どうだ?しばらく経ってみれば、その先輩たちと普通に打ち合えるようになってる。最初は想像もできなかった「打ち合える自分」が、気付いたら目の前にいるんだ。最終的には先輩に勝って「恩返し」だってできるようになる。空手の世界で言う「恩返し」ってのは、教わった先輩や先生に、試合で勝つことで示す感謝の形だ。まさに「成長の証」だよな。


センスなんて関係ねえ

ただ、ここで必ず出てくるのが「先輩はセンスがあるからだよ」「あの人は元々運動神経が良いから勝てたんだ」という声だ。正直、私はこの「センス」という言葉が大嫌いだ。だって、それを言い訳にしてる時点で、自分の成長のドアを閉めてるようなもんだからだ。

「俺にはセンスがないから…」って言ってる奴は、その瞬間から強くなる可能性を捨ててしまっている。

もちろん、褒め言葉として「お前、センスあるな!」って言う時はある。でも「お前、センスがないな」なんて言葉は、私は一度たりとも指導の場で使ったことはない。なぜなら、運動神経がなくたって、センスがなくたって、結果を出してきた奴らを私は何人も見てきたからだ。大道塾時代、関東大会でベスト4や準優勝になった奴らの中には、学生時代の体育の授業では落ちこぼれだった奴もいる。白帯時代には「こんな奴が強くなるわけないだろ」って思われてた奴が、コツコツ努力を積み重ねて結果を出したんだ。センスを感じられないヤツの中には全日本大会で優勝した後輩もいる。最もそいつは、「努力するセンス」があったんだろう。

じゃあ、彼らに共通していたものは何か?答えはシンプルだ。「愚直さ」と「真面目さ」。ただそれだけだ。黙々と稽古を続ける。黙々と自主トレを積む。これが強さの秘訣だと私は思っている。これは他のスポーツ、仕事などでも全てに共通する同じ事だと思う。


限界を超えるために必要なこと

もう一度言うぞ。
「決して諦めるな!限界は自分が思っているよりずっと先にあるものだ!」

これは、ただのキレイごとじゃない。私自身が経験してきたことだし、お前たちにも必ず体感できる時が来る。限界なんてのは、自分が勝手に決めたストッパーに過ぎない。それを取っ払ったとき、人は想像以上の力を発揮できるんだ。

だから、稽古中に「もう無理だ!」って思った瞬間こそ、もう一回だけ踏ん張れ。息が切れて足が動かなくなった時こそ、「もう一回!」って自分に言い聞かせろ。その繰り返しが、限界をどんどん先に押し広げてくれる。

気が付いたら、お前自身が「昔はあんなこともできなかったのに」って笑える日が必ず来るから。その時の自分が、今の自分に「もっとやれるぞ!」って言ってくれるんだよ。


最後に

私が道場でお前たちに伝えたいのは、「強くなるための特別な才能なんていらない」ということだ。必要なのは、目の前の稽古に全力で取り組むこと。そして、「限界はずっと先にある!」と信じて、一歩でも前に進み続けること。それだけでいいんだ。

自分で自分の可能性にフタをするな。
諦めるな。限界は、お前が思っているより、ずっとずっと先にあるんだから。

さあ、今日も気合い入れていこうぜ!押忍!